贈与税の種類について
贈与税の申告には、
「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類の方法があります。
このうち、原則である「暦年課税」についての基本中の基本について説明しています。
ご興味のある方は、ぜひ最後まで読んでください。
なんとなく理解できると思います。
(平成24年4月1日 更新)
贈与税の納税義務者とは?
(1) 贈与とは、
@ 当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、
相手方がこれを受諾することによって効力を生じる契約をいいます。
A 贈与のうち、書面によらないものは、
贈与者、受贈者双方とも、いつでもこれを取り消すことができる。
B すでに履行が終った部分については、これを取消すことはできません。
(2) 贈与税の納税義務者
個人が贈与(死因贈与を除く。)によって財産を取得した場合には
贈与税が課税されます。つまり贈与による財産の取得をいいます。
ただし、取得した贈与財産の年間(1月1日〜12月31日)の合計額が
110万円以下の 場合には、贈与税の納税義務者とはなりません。
(3) 課税財産の範囲
@ 無制限納税義務者の場合には、
国内外のすべての財産が贈与税の課税対象となります。
A 制限納税義務者の場合には、
国内の財産が贈与税の課税対象となります。
(4) 用語の意義
@ 死因贈与とは、
贈与者の死亡により効力が発生する贈与契約をいいます。
死因贈与は、贈与税ではなく、相続税の課税対象となります。
A 無制限納税義務者とは、
(イ) 財産を取得した個人で、その贈与時に国内に住所を有する個人。
(ロ) 財産を取得した個人が日本国籍を有する場合で、その贈与時に
国外に住所を有する個人は、財産を取得した個人または贈与者の
どちらかが贈与前5年内に国内に住所があった場合。
B 制限納税義務者とは、
(イ) 財産を取得した日本国籍を有していない個人が、その贈与時に
国外に住所を有する個人。
(ロ) 財産を取得した個人が日本国籍を有する場合で、その贈与時に
国外に住所を有する個人は、財産を取得した個人または贈与者が
ともに贈与前5年超、国外に継続して住所を移している場合。
贈与税の課税財産とは?
(1) 課税される財産の範囲
贈与によって取得した財産は、民法上の本来の贈与により取得したものである。
しかし、本来の贈与財産には該当しないが、実質的には贈与により取得したもの
とみなされるものがある。これを一般に「みなし贈与財産」という。
@ 本来の贈与財産
・預貯金等 ・株式等 ・土地 ・建物 ・骨董品 など
A みなし贈与財産
・保険金のうち贈与により取得したものとみなされるもの
・定期金のうち贈与により所得したものとみなされるもの
・財産の低額譲受による利益
・債務免除等による利益
・その他の経済的利益 など
(2) 贈与税の非課税財産
贈与税の課税される財産は、
原則として贈与によって取得したすべての財産である。
これらの財産のうち、公益性の見地または社会政策的見地などから、
贈与税を課税しないものがある。これを「贈与税の非課税財産」という。
@ 法人からの贈与により取得した財産
A 扶養義務者からの生活費、教育費として通常必要な範囲で受けた財産
B 離婚を原因とする財産分与(贈与税を逃れる目的であるものを除く。)
C 公共事業用財産
D 特定公益信託(学術奨励・学資支給の目的のもの)交付される金品
E 心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
F 公職の候補者が選挙運動に関し、贈与により取得した財産
G 特別障害者が受ける信託受給権
H 社交上必要と認められる香典、花輪代、年末年始の贈答等
I 相続開始の年に受けた財産(相続税の課税対象となるため) など
贈与税の配偶者控除とは?
夫婦間の贈与は、
一般的に夫婦が共同で財産を蓄積したものと考えられているため、
贈与の認識はないと思います。
夫婦間の贈与は、老後の生活保障を目的として行われている傾向が強いようです。
そこで、これらの点を考慮して、「贈与税の配偶者控除」が設けられました。
@ 適用対象者
・婚姻期間20年以上の配偶者
A 適用資産
・居住の用に供している土地(土地の上に存する権利を含みます。)
を取得した場合
・居住用家屋を取得した場合
・金銭を取得した者が翌年3月15日までに居住用不動産を取得し、
居住の用に供した場合
B 適用要件
・Aの適用資産を取得後も引き続き居住の用に供すること。
・贈与税の申告書を提出すること
(戸籍謄本などの添付書類が必要になります。)。
・贈与税の配偶者控除は、1回のみの適用です。
C 控除額
・最高2,000万円(贈与された居住用不動産等の価格を限度とします。)
住宅取得等資金の贈与の特例とは?
平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に、
父母や祖父母などの直系尊属から 住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者は、
一定の要件に該当する場合には、住宅取得等資金のうち一定の金額について
贈与税が非課税となります。
詳しい要件などについては以下のHPを参照してください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4508.htm
※ 住宅取得等資金の贈与の特例の適用期間については、
平成24年度税制改正にて延長する予定です。
贈与税の計算と税率(暦年課税)
(1) 贈与税の計算方法
@ その年1月1日から12月31日までの
1年間に贈与を受けた財産の価額を合計します。
A @の合計額から基礎控除額(110万円)を控除します。
B Aの残額に贈与税率を乗じて贈与税額を計算します。
(2) 贈与税の税率
贈与税は、以下の速算表(贈与税率)をもとに計算します。
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
− |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1,000万円以下 |
40% |
125万円 |
1,000万円超 |
50% |
225万円 |
(例) 贈与財産の価額の合計額が400万円の場合
@ 基礎控除後の課税価格 400万円−110万円=290万円
A 贈与税額の計算 290万円×15%−10万円=33.5万円
贈与税の申告
(1) 贈与税の申告期限
贈与税がかかる場合は、
財産をもらった個人が申告し納付をする必要があります。
申告は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行います。
(2) 贈与税申告書の提出先
贈与税の申告書は、
財産を取得した個人の納税地の所轄税務署長に提出する。
贈与税の納税
(1) 贈与税の納税期限
贈与税がかかる場合は、財産をもらった個人が納付をする必要があります。
贈与税は金銭で一時に納付することが原則です。
納税は、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に行います。
(2) 贈与税の納付方法
@ 現金で納付する場合
現金に納付書を添えて、
金融機関又は住所地等の所轄税務署の納税窓口で納付する。
A コンビニエンスストアで納付する場合
平成20年1月21日から
国税をコンビニエンスストアで納付することができます。
B e-Taxで納付する場合
自宅等からインターネットを利用して納付します。
※ 納付書は、税務署又は所轄の税務署管内の金融機関でもらってください。
(3) 贈与税の連帯納付義務
同一の被相続人から相続または遺贈によって財産を取得したすべての者は、
その被相続人に係る贈与税について、その相続または遺贈によって受けた
利益の価額に相当する金額を限度として、たがにに連帯納付の責に任ずる。
贈与税の延納
(1) 贈与税の延納
贈与税を一時に納税することが困難な場合があります。
その場合には、延納という納税方法があります。
ただし、この延納は一定の条件の下に
5年以内の年賦により納税することになります。
(2) 延納を受けるための要件
次の3つのすべてに該当することが必要です。
@ 申告による納付税額が10万円を超えていること。
A 金銭で一度に納付することが難しい理由があること。
B 担保を提供すること。
ただし、延納税額が50万円未満で延納期間が3年以下の場合、
担保は必要なし。
(3) 延納するための手続
延納しようとする贈与税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、
延納申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出する必要
があります。
税務署長は、延納申請書に基づいて、延納の許可又は却下をします。
延納できることになった税金には、年率6.6%の利子税が発生します。
※利子税の割合について一定の要件に該当する場合には特例が設けられている。