有限責任事業組合とは?
「有限責任事業組合」についての基本中の基本について説明しています。
ご興味のある方は、ぜひ最後まで読んでください。
なんとなく理解できると思います。
我が国の会社形態は、株式会社が全体の約96%を占めています。
株式会社は、「有限責任制」というメリットがある反面、出資金額に応じた利益
や権限しか配分できず、共同事業を行う場合には、能力があっても出資資金
のない個人には十分なインセンティブを与えることができなかった。
組織の内部自治において自由度を確保することが困難であるため、意思決定
にタイムロスが生じ、経営者の意思よりも株主利益に左右されることがあるなど、
ニーズが多様化する現代の一定の事業形態においては、必ずしも適切な組織
ではないと思われます。
任意組合の場合には、「内部自治の原則」・「構成員課税」というメリットを享受
する反面、組合員が「無限責任」となってしまうため、ベンチャー企業などハイリ
スクを負う可能性のある事業を行うための事業体には向いていないと考えられ
ます。
そこで、任意組合のデメリットである、組合員の「無限責任」を「有限責任」とし、
さらに、任意組合のメリットである、損益や権限の分配が自由に決定することが
できる内部自治の徹底と構成員課税の適用を備えた事業体として、
「有限責任事業組合」が誕生しました。
「有限責任事業組合」が誕生したことにより、大企業同士、大企業の中小企業、
産学連携、専門人材同士などの様々な共同事業を振興し、我が国の経済活動
の向上つながればよいと考えられています。
有限責任事業組合の組成から解散までの
基本的な流れを知りたい方はこちらをクリックしてください。
(平成24年9月22日 更新)
有限責任とは?
有限責任事業組合の有限責任とは、
組合員は、
@ その出資の価額を限度として、組合の債務を弁済する責任を負います。
A 組合の業務に関して第三者に損害が生じたときは、組合財産をもって、
当該損害を賠償する責任を負います。
各組合員は、基本的には有限責任となりますが、悪意又は重大な過失により
損害が生じた場合には、無限責任となりますので注意が必要となります。
内部自治の原則とは?
内部自治の原則とは、
組合員同士で「有限責任事業組合」の内部の取り決めを自由に決定することが
できるとし、次の2つの特徴があります。
@ 組織内部の柔軟性及び意思決定の迅速化
株式会社の場合には、所有と経営が分離するため、意思決定に対する
タイムロスが生じ、迅速な経営判断ができない状況があります。
これに対して、「有限責任事業組合」は、所有と経営が一致しているため、
迅速な経営判断をすることができます。
A 柔軟な損益分配
組合員の損益分配の割合は、原則として総組合員の同意により、各組合員
が履行いた出資の価額に応じて定めています。
ただし、特例として、別段の定めをした場合には、その割合を使用して損益分配
をすることができます。
構成員課税とは?
構成員課税(パススルー課税とも呼ばれる。)とは、
「有限責任事業組合」において利益が生じた場合には、「有限責任事業組合」の
段階では課税されず、その組合員(出資者)の段階で直接課税されます。
損失が生じた場合には、出資の価額を基礎として定められている一定の範囲内に
おいて、その組合員の他の所得と損益通算をすることが可能となります。
構成員課税の制度は、組合員がタックスメリットを享受することができるため、
「租税回避行為」に利用される可能性があります。
そのため、これらを防止するために、共同事業要件や計算書類の提出などの
複数の規定が設けられています。