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山田一成税理士事務所は中小企業・個人事業を会計面及び税務面から全面的にサポートをします。(ソフトウェア業界出身の足立区の税理士事務所です。)初回の税務相談・月額顧問料は無料です。

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ソフトウェア業界SOFTWARE





    IT業専門税理士事務所のホームページは開設しました。
     ご興味のある方は拝見してください。よろしくお願いします。
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 ソフトウェア業界


 特定サービス産業動態統計・情報サービス業  

   「特定サービス産業動態統計」の速報を平成24年6月に経済産業省から公表されました。
    特定サービス産業実態調査の目的は、
    我が国サービス産業の活動の実態と事業経営の現状を明らかにすることです。

    ソフトウェア業界の推移を確認したい方は以下のHPを参照してください。
   (社)情報サービス産業協会の「統計資料」に掲載されたものです。
     http://www.jisa.or.jp/statistics/download/dotai201206.pdf



 自社利用のソフトウェア取引  

   自社利用のソフトウェア取引の基本的な概念は以下のとおりです(ソフトウェア実務指針より)。
    (1) 社内業務を効率的又は効果的に行う目的
        @ 財務会計ソフトウェア
        A 固定資産管理ソフトウェア
        B 販売管理ソフトウェアなどの社内業務の基幹系ソフトウェア
    (2) 第三者への業務処理サービスなどの提供目的
        @ 給与計算業務を受託している場合の給与計算ソフトウェア
        A 経理業務を受託している場合の財務会計ソフトウェア
        B ASPサービスに提供しているソフトウェア



 市場販売目的のソフトウェア取引  

   市場販売目的のソフトウェア取引の基本的な概念は以下のとおりです。
    @ 不特定多数のユーザー向けに開発した各種ソフトウェアの販売やライセンス販売
      (ライセンスの使用を許諾し使用料を得る契約)をいいます。
    A 製品マスター(複写可能な完成品)を制作し、これを複写したものを販売する取引をいいます。
      (具体例)
       ・表計算ソフトウェア          ・ワープロソフトウェア
       ・給与計算ソフトウェア           ・財務会計ソフトウェア
       ・パソコンの基本ソフトウェア など



 受注開発ソフトウェア業の制作工程  

  「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」
   (経済産業省:平成19年4月より)


    1.企画・要求定義段階
     @ システム化の方向性   準委託型 
     A システム化計画     準委託型 
     B 要件定義        準委託型
   ※  企画・要求定義段階では「準委任契約」。
      (1) ユーザー側は、 業務要件が具体的に確定していないため、
                 フェーズ開始時点での具体的な成果物を想定できない。
      (2) ベンダー側は、具体的な成果物が確定していないため、「請負契約」は不適切。

   2.開発段階
     @ システム設計(システム外部設計)    準委任型・請負型
     A システム方式設計(システム内部設計)         請負型
     B ソフトウェア設計                 請負型
     C プログラミング                    請負型
     D ソフトウェアテスト                  請負型
     E システム結合                   請負型
     F システムテスト             準委任型・請負型
     G 受入・導入支援                 準委任型
    ※ (1)開発段階は、「請負契約」と「準委任契約」の両方でOK。
        (2)システム設計(システム外部設計)と受入・導入支援は、
         ユーザー側の業務要件に関わる部分が、多数占めるため、「準委任契約」が妥当。
      (3)その他の工程については、成果物の内容が具体的に特定できるため、「請負契約」が妥当。

   3.運用段階
     @ 運用テスト   準委任型
     A 運用      準委任型・請負型
     ※ テスト環境における運用テスト及び本番環境でのソフトウェアの稼働確認。
   4.保守段階    準委任型・請負型
     ※ 納入したソフトウェアの維持管理を行うことを目的。

   5.最後に
     ソフトウェア会社の方々は、自分自身がどの制作工程に携わっているのか意識して行っていますか。
     受注ソフトウェア業の制作を一括で行っている場合には、各制作段階での契約形態はわかっていますか。
     もう一度、ご確認をしたほうが良いと思います。



 受注開発ソフトウェア業の契約形態  

  1.請負契約
    ベンダーがある業務を完成させることを約束し、ユーザーはその仕事の結果
    に対して報酬を支払うことを約束する契約。
  2.準委任契約
    ユーザーが一定の業務処理をベンダーに委託し、ベンダーがそれを承諾すること
    によって成立する契約。
  3.SES契約
    ベンダーが自社の従業員等をユーザーに常駐させ、プログラミング作業等の
    ソフトウェア制作業務支援を提供する契約。
  4.派遣契約
    ベンダーが委託会社に人員を派遣し、委託会社の指示のもの労働に従事させる契約。

    請負契約は、ソフトウェアを完成させ納入する責任があり、当該ソフトウェアに、
    瑕疵があった場合には、瑕疵担保責任を負う。
    請負契約以外の契約は、ユーザーからの受託を善管注意義務をもって処理する。
    完成義務がなく、瑕疵担保責任も負いません。

    請負契約の方が、他の契約よりも責任があることを肝に銘じる必要がある。

    ソフトウェア業の会計処理においては、契約形態の形式のみで判断するのではなく、
    実質も考慮して行う必要がある。
    受注開発ソフトウェア業の契約形態は、「請負契約」ではあるが、
    実質は、「請負契約以外の契約」の可能性があるため、契約書をもう一度、
    確認してみる必要があるかもしれません。




 ソフトウェア業界の業種別分類  

   1.受託開発ソフトウェア業
     顧客からの依頼により、顧客独自のソフトウェア制作を行う会社。
   2.パッケージ・ソフトウェア業
     不特定多数の顧客を対象にした会計システムや人事システムなどの
     パーケージ・ソフトウェアの制作・販売を行う会社。
   3.サービス系
     上記以外のサービス提供を行う会社。
     例えば、ハウジング・サービスのように、顧客の通信機器や情報発信用のコンピュータ
     (サーバ)を自社の回線設備の整った施設に設置するサービスなど。

     最近は、ソフトウェア業においては、受託開発ソフトウェア業やパッケージ・ソフトウェア業
     の開発を独自に行うのではなく、付加価値をつけるため、サービス系の開発も同時に行う
     会社も増えつつあります。
     中小零細企業においては、受託開発ソフトウェア業からサービス系に転換するソフトウェア
     会社もあるそうです。
     我々、税理士もソフトウェア業の急速な発展に伴い、きちんと対応できるように、
     会計面及び税務面を日々、勉強しなければならないと痛感します。



 ソフトウェア会社の分類  

  1.メーカー系
     富士通や日立などのソフトウェア業メーカーの「ソフトウェア制作部門」を独立させて設立。
   2.ユーザー系
     銀行や証券会社などのソフトウェア業以外が「情報システム部門」を独立させて設立。
   3.独立系
     CSKや富士ソフトなど親会社を持たない会社。
   4.外資系
     マイクロソフト・SAPなどの外資の会社。

     中小零細企業のソフトウェア会社は、「独立系」に属する。
     メーカー系・ユーザー系・外資系のように大企業の後ろ盾がない。
     そのため、契約書作成時においては、作業分担や責任問題など慎重に取り組む必要がある。




 ソフトウェア業界の現状(1)

  「特定サービス産業実態調査」って知っていますか?
   毎年1回、経済産業省が行う調査で、
    ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業などの業種(日本標準分類:小分類)が対象。
    ソフトウェア業界以外にもデザイン業や公告業などのサービス業も含まれています。
    特定サービス産業実態調査の目的は、
    我が国サービス産業の活動の実態と事業経営の現状を明らかにすることだそうです。
    その中で、ソフトウェア業界の現状について気になったところは....

                      平成19年      平成20年       平成21年   
   @ 事業所数               9,855         12,313       15,326
   A 年間売上高         13兆4,097億円     14兆8,071億円    15兆5,019億円
   B 事業所当たりの従業員数        55          50          44
   C 1事業所当たり年間売上高    13.6億円       12.1億円       10.1億円

    事業所数は毎年、着実に伸びている。
    1事業所当たりの従業員数が毎年、減少している。
    年間売上高も毎年、着実に伸びている。
    1事業所当たりの年間売上高が毎年、減少している。
    ソフトウェア会社は小規模化に分散している傾向にある。(個人的な見解)
    上記の例示以外にも、全国・都道府県別・資本金規模など多数の項目があります。 
    興味のある方は、自分自身が携わっている業界をチェックしてみてはいかがでしょうか。
   「特定サービス産業実態調査」と検索すれば必ずヒットします。



 ソフトウェア業界の現状(2)

  「平成20年 特定サービス産業実態調査(確報)」より。
    ソフトウェア業の業務別年間売上高(平成20年)は以下のとおり。
    【ソフトウェア業界の年間売上高】              14兆8,071億円
      ( 内 訳 )
      (1) ソフトウェア業務の業務種類別売上高       11兆4,656億円
            1.受注ソフトウェア開発       9兆9,535億円
            2.ソフトウェア・プロダクツ     1兆5,121億円
            (イ) 業務用パッケージ         1兆582億円
            (ロ) ゲームソフト           2,617億円
            (ハ) コンピュータ等基本ソフト     1,923億円
      (2) その他(情報通信業務など)           3兆3,415億円 

    ソフトウェア業界の年間売上高のうち、受注ソフトウェア開発が約68%を占めている。
    この受注ソフトウェア開発については、平成21年4月1日以降開始する事業年度から
    「工事契約に関する会計基準」を適用する。
    従来は、受注ソフトウェア開発の収益認識基準は「完成基準」。
    これからは、一定の要件に該当する場合には、「工事進行基準」。
    ソフトウェア業界の方々は、きちんと把握し理解しているのか心配です。
    さらに、税理士先生も顧客に対してきちんと説明しているのか心配です。

   ソフトウェア業界の年間売上高の内訳を以下のように使ってみてはいかがですか。
    1.前年度と比較検討
    2.ソフトウェア会社のコンサルティング資料として
    3.話のネタ 



 ソフトウェア業界の現状(3)

   ソフトウェア業界は、大企業から中小・零細企業まで様々な企業が存在している。
   ソフトウェア業の企業構造は、「多段階請負構造」とも呼ばれる。
    @ 1次請けベンダー: 大企業
    A 2次請けベンダー:中堅企業
    B 3次請けベンダー:中小企業
    C 4次請けベンダー:零細企業

   ※ ソフトウェア業界におけるベンダーとは、NEC・富士通・NTTデータなどの
      システムの提案や開発を行う会社をいう。
     したがって、大企業→中堅企業→中小企業→零細企業の順で
       ソフトウェア制作の上流工程から下流工程に作業が移動する。
       ソフトウェア会社の社長さん、従業者数に対応する売上高を確保していますか。
     社内で上流工程のできる人材を育てていますか。   
     簡単に言うけれど、一番難しい問題ですよね。わかっています。







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